消化器内科
「おなか」に症状がある場合、いわゆる腹痛、下痢、便秘、嘔気、嘔吐といった症状について診療します。
「おなか」といっても、胃、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、膀胱、女性の場合は子宮や卵巣など、様々な臓器があり、それぞれに適した方法で検査を行います。
急性虫垂炎
「もうちょうで手術したんですよ」と一般的に言われますが、正式には急性虫垂炎と言って、虫垂(ちゅうすい)という場所の炎症によるものです。はじめは、吐き気や食欲低下とともに、おなかの右下ではなく、みぞおちの辺りが痛むこともあります。超音波検査やCT検査で診断しますが、検査のタイミングによっては、分かりにくいことも多く、身体所見や症状の経過などで、総合的に判断します。「もうちょうをちらした」というのは、虫垂の炎症を、抗生剤の内服薬や点滴薬で治療したということです。これでおさまる方もいますが、こじらせると腹膜炎を起こすので、手術治療が望ましい場合もあります。
急性胃腸炎
急な吐き気と下痢がある場合、急性胃腸炎が疑われます、急性胃腸炎にはウイルス性と細菌性があり、ウイルス性ではカキなどの二枚貝を食べた後などに起こるノロウイルスが有名です。細菌性では、焼き鳥や唐揚げが生焼けで、生の鶏肉を食べた後などに起こるカンピロバクター菌がよく見られます。ウイルス性の場合は2~3日で軽快へ向かう事が多く、細菌性ではそれより長引き、発熱や下血を伴うこともあり、抗生剤治療が必要なことがあります。
腸閉塞
便が出ず、おなかが張り、吐き気がどんどん強くなり、やがて繰り返して嘔吐される場合、腸閉塞の可能性があります。おなかの手術を受けた事のある方で、腸に癒着があったり、大腸がんが原因の事もあります。
クローン病、潰瘍性大腸炎
下痢が長引き、腹痛や腹鳴があり、微熱があったり発疹が出たりします。大腸内視鏡検査で診断します。厚生労働省の指定難病です。当院の医師は難病指定医なので、公費の申請書類を作成できます。更新申請の書類も作成できますのでご相談ください。
胆石症、急性胆のう炎、急性胆管炎
脂肪分の多いお食事の後に、生じた腹痛は、胆石症かもしれません。右のあばらの下あたりや、みぞおちが痛むことが多いです。とても強い痛みで、吐き気、嘔吐を伴うこともあります。
また、胆石が胆汁の出口を塞いでしまうことで、胆のうや胆管内で細菌が増殖し、炎症が引き起こされると、急性胆のう炎、急性胆管炎となります。
発熱や背中の痛みを伴うことが多く、ひどくなると黄疸があらわれます。
大腸憩室炎
消化管の壁が一部分、袋状に外側へ飛び出した状態のことを憩室(けいしつ)と言い、大腸によく見られます。多くの憩室が無症状ですが、内部に便が詰まり、細菌が増殖して炎症を起こすことを、大腸憩室炎と言います。腹痛が起こり、重症例では腸の壁に膿瘍(うみの溜まり)ができることもあります。
胃・十二指腸潰瘍
食後の腹痛は、胃潰瘍の代表的な症状と言われています。吐き気や嘔吐が起こることもあります。
空腹時にお腹が痛くなるのは、十二指腸潰瘍の典型的な症状のひとつです。潰瘍がひどくなると出血が起こり、胃酸と反応して黒っぽい色になった血液が、嘔吐の時に出てきたり、黒色便として出てきたりします。また、出血がなくても、潰瘍が深くなってついには胃や十二指腸に穴が開いてしまい、腹膜炎を起こして激痛が生じることがあります。
ピロリ菌や痛み止めが、原因の大部分を占めます。
急性膵炎
膵臓は、消化酵素の含まれた膵液を分泌しています。急性膵炎は、膵液によって膵臓そのもの、および周囲の臓器が消化されることで炎症がおこる病気です。アルコールをよく飲む方に多く、胆石が原因で起こることもあります。
みぞおちに刺すような痛みが生じて急激に広がり、やがて立っていられない程激しいものになります。高熱や嘔吐を伴うことが多く、重症化すると意識障害やショック状態になり、致命的になることも少なくありません。
尿路結石
腎臓や尿管と言った尿の通り道に結石が詰まった状態を、尿路結石といい、結石が狭い尿管内を通るときに激しい痛みを引き起こし、血尿が出ることもあります。また、結石が詰まった部位に細菌感染がおこると、腎臓まで波及して腎盂腎炎となり、高熱が出ます。
卵巣茎捻転、子宮外妊娠、卵巣出血など
女性の場合の腹痛には、婦人科的疾患も多くあります。緊急を要する病気の場合があり、注意が必要です。
生活習慣病
糖尿病、高血圧、脂質代謝異常(コレステロールや中性脂肪が高い)といった生活習慣病は、たいていの場合無症状で、健診などで初めて指摘されることも多いです。しかし症状がないからと言って放置しておくと、重大な病気につながります。
生活習慣(食事、運動)の改善が非常に重要で、有効です。無理のない計画を一緒に話し合い、少しずつ改善を目指していきます。
糖尿病
血糖値が慢性的に高くなる病気です。このため全身の血管に障害が起こり、動脈硬化が進行して心筋梗塞、脳梗塞、腎不全、失明、足の指が壊死を起こすなど、生活の質を大きく低減させるような合併症が起こります。
高血圧
塩分の過剰摂取や、肥満、運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣から高血圧をきたすことがあります。睡眠時無呼吸症候群が関与する場合もあります。しかし、特に生活面で問題がなくても、年齢とともに自然に高くなるのでだれでも注意が必要です。症状はほとんどなく、急激に血圧が上昇した場合、頭痛や吐き気と言った症状をともなうことがあり、高血圧緊急証と呼ばれます。また、比較的年齢が若いのに血圧が高い場合、二次性高血圧と言って、血圧を上げるホルモンが身体の中で増えることで、高血圧となっていることがあり、おおもとの病気の治療が必要になります。
血圧について気になるQ&A
Q 病院ではいつも、血圧が高いといわれますが、家ではそうでもないんです。
診察室では緊張して血圧が高くなってしまいがちです。
ですから、リラックスしてご自宅で測った血圧でも高いのか、を確かめることが必要です。
ご自宅で測った血圧で、収縮期血圧(大きい方の血圧)が135mmHg以上、または、拡張期血圧(小さい方の血圧)が85 mmHg以上の場合は高血圧と考えられます。
逆に、診察室では低いけれども早朝起床時だけに血圧が高くなったり、通常、夜間に低くなるはずの血圧があまり下がらなかったり、逆に上がってしまうなど、病院で見つけにくい高血圧(仮面高血圧といいます)もあるので、自宅で血圧を測定するのは、とても大事です。
ご自宅での血圧を確認してから、必要であれば、薬を使って治療していくことになります。
Q 血縁で、血圧が高いと言われた者はいないのに…私だけどうして?
高血圧の90~95%は、加齢、遺伝、食生活など様々な要素が絡んで原因のはっきりしない「本態性高血圧」で、どなたにでも起こるものです。
家庭や仕事場でのストレス、寝不足、不眠症、頭痛、めまい、のぼせ、肩こりなどで、血圧が高くなっている場合があります。
高血圧の原因となっていそうな症状や、生活習慣があれば、そちらの改善も考えて行く必要があります。
Q 血圧が高いだけで、なんともないんだけど…薬飲まないとダメ?
高血圧を指摘された方には、血圧が高い他は自覚症状がなく、気づかない人もたくさんいます。
ですが、症状がないからと放っておくと動脈硬化を引き起こし、脳出血や心筋梗塞、心肥大などの原因となるので、合併症を起こさないうちに早めに治療をすることが重要です。
薬を飲み始めると頭痛が出てしまって飲めなかったという方には、漢方薬の選択肢もありますので、自分に合った治療法を探していくことができます。
年をとっても、元気に活動できるようにしっかり血圧コントロールをしましょう。
脂質代謝異常
血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことです。血液中に余分な脂質が多くなると、動脈硬化を起こしやすくなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなります。性別や年齢、他に糖尿病や高血圧もあるかどうか、などで、病気につながる危険性が異なりますので、まずリスク評価を行い、リスクの程度に応じた目標値を目指して、改善を図ります。
高尿酸血症
尿酸が体内で過剰になると、体内で析出して結晶となり、痛風と呼ばれる病気になることがあります。足の親指の関節で形成されることが多く、激烈な痛みや発赤、腫れなどの炎症反応を引き起こします。また、腎臓に結晶ができると、腎臓結石の原因にもなります。高尿酸血症は、アルコールや肉を多く摂取する、生活習慣と密接に関連しています。腎機能障害の原因になる場合もあります。
一般内科
消化器内科に限らず、気になる症状がある場合はご相談ください。
具合が悪いけれど、何科を受診したらよいのか分からない?それは当然です。なぜなら、それが何科の病気であるかを見極めるのは、私たち医者の仕事だからです。
原因をつきとめ、最適な治療がなにか考え、紹介するべき病院があれば速やかに紹介します。
当院で対応できない場合、連携している他の病院へご紹介します。
連携先は以下の通りです。
- 新座志木中央総合病院
- TMGあさか医療センター
- TMG宗岡中央病院
- 国立病院機構 埼玉病院
- イムス三芳総合病院
- 東京山の手メディカルセンター
- 東京慈恵会医科大学付属病院
- 公益財団法人がん研究会 有明病院
東洋医学
西洋医学が完璧であれば、漢方の出番はないのですが、人の抱える症状の中には、西洋薬では解決できない、病気とは言われていない、そんなものもあります。
いくつもの病院を受診して、同じような薬をもらったけれど、全然よくならない。そんな時には、何か見落としていることが無いか確認したうえで、漢方薬を試してみるのも一つの手だと思います。
例えば「痛み」について、西洋薬の多くは、炎症を抑えるために血流を抑えて(冷やして)痛みを和らげる作用を持ちますが、慢性の痛みの中には、血の巡りが悪くなっているために起こっているものもあります。その場合、血の巡りをよくして温める作用を持つ漢方薬が、痛み止めとして効果を発揮することがあります。
あくまでも根幹は西洋医学ですが、カバーしきれない分野に漢方薬を使うと、症状が楽になる方もいます。
注意するべきは、「漢方薬には副作用がない」という誤解がある事です。漢方薬にも副作用はあります。そして、友人に効果があったからと言って、自分にも効果があるとは限りません。必要を見極めて、漢方薬を使うことが大切です。